コロナ禍のもと社会環境が変化する中で、人々の「中心市街地(まちの中心)」に対するニーズはどのように変化しているのだろうか。第2章では、中心市街地(まちの中心)における活動やまちづくりに対する意識を本調査で実施したアンケート調査の結果を中心に確認する。
(地域によって異なる中心市街地の捉え方)
(年齢とともに変化する中心市街地の捉え方)
(本稿における中心市街地の扱い)
(就業、買物の拠点として性格が強い中心市街地(まちの中心))
(コロナ禍で訪問頻度が減少したのは外食・レジャー、買回品の買物)
(コロナ禍終息後に訪問が増えるのは外食・レジャー・娯楽等)
(若者の関心が高い都心居住に対する関心)
(二地域居住と連携した都心居住ニーズの存在)
(ニーズが大きい交通ターミナル機能、憩い空間等)
(年齢によって異なる空間・機能ニーズ)
中心市街地活性化にあたっては、住民等の参加意識が重要であるため、コロナ禍におけるまちづくり活動に対する意識を調査した。
(まちづくりに関心があるという回答は約6割、ただし積極的な参加者は一部)
(積極的活動の中心は20~30歳代、関心は高いが活動が行えていない60歳代)
(活動を行えていないのは参加のきっかけ不足、取組の認知不足など)
(コロナ禍を機に高まったまちづくりへの関心)
(コロナ禍が落ち着いたら活動してみたい取組)
以上の調査結果から、中心市街地(まちの中心)は、コロナ禍のもとで来訪者が減少したが、潜在的な来訪ニーズは高いことが明らかになった。中心市街地(まちの中心)は交通の利便性が高く、集積のメリットを活かした機能集積が存在しており、こうした集積のメリットに対するニーズを反映したものだと考えられる。
特に、就業、食料品・日用品の買物等の生活に必須な分野においては、中心市街地(まちの中心)は活動の拠点となっており、高い頻度で訪れる人が多い。外食、付き合い等の必ずしも生活に必須ではない活動については、依然として活動抑制傾向が強いが、コロナ禍終息後は訪問頻度がある程度までは回復するものと推察される。
今後の中心市街地(まちの中心)に対する機能、空間ニーズとしては交通のターミナル機能、憩いの場、商業機能等が大きいが、年齢層によって差が大きいことにも留意する必要がある。コロナ禍を機に在宅勤務者等が増えたことも踏まえて、多様な機能ニーズに応えられるようにすることが重要だと考えられる。
中心市街地(まちの中心)の活性化に当たっては、まちづくりへの参画者を増やすことも重要である。現状は6割が関心を有しているが実際に活動・参加している人は15%にとどまっている。また、多くの中心市街地(まちの中心)では、コロナ対策のため、イベント開催等を自粛している状況である。ただしコロナ禍後にまちづくりに対する関心が高まったという回答者が3割程度おり、参画を推進することが望まれる。