【付属資料2】 関連用語集

■エリアマネジメント団体

 国土交通省エリアマネジメント推進マニュアルによれば、「地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取組」であり、内閣官房・内閣府では「特定のエリアを単位に、民間が主体となって、まちづくりや地域経営(マネジメント)を積極的に行おうという取組」と説明されている。

 エリアマネジメント団体は、その取組の実施機関。中心市街地活性化の推進機関も多くはこの定義に含まれると考えられるが、公社組織の場合もあることから、本稿では「特定地区の管理運営団体」という表記を用いた。

 

■基盤産業・非基盤産業

 基盤産業は、域外を主たる販売市場とした産業。一般的に農林漁業、鉱業、製造業、宿泊業、運輸業(特に水運)、IT産業等が該当。企業活動の利益が帰属する本社機能もあてはまる。

 非基盤産業は、域内を主たる販売市場としている産業で、建設業、小売業、対個人サービス、公共的サービス、公務、金融保険業(支店、営業所)、不動産業等が該当する。

 

■シビックプライド

 「地域をより良い場所にするために、自分自身が関わっている」「「地域を育くみ、そのために行動する」」という、まちづくりに対する当事者意識や自負心のこと。人口減少に伴う衰退する地方経済の活性化などへの効果が期待できるとして、シビックプライドの醸成に取り組む自治体が増えている。

 

■サードプレイス

 自宅(ファーストプレイス)でも職場・学校(セカンドプレイス)でもない、居心地の良い時間を過ごせる第三の居場所のこと。

 

■創造地区

 芸術、映画、ゲーム、デザイン、広告等の創造産業を中心に、IT産業や法律相談等、知的財産の生産に関わる産業が集積する地区のこと。創造都市の核となる産業の集積拠点。

 

■TMO(Town Management Organization)

 中心市街地(まちの中心)に関わる官民の諸活動を総合的に企画・調整し、時には事業主体となって、中心市街地(まちの中心)の諸資源を活かして、活性化を図る機関。旧中心市街地活性化法では、中心市街地全体の商業活性化に向けて構想・計画を作成し、テナント・ミックスの管理、商業基盤施設等の整備、共同ソフト事業の実施を行っていく機関。特にTMO構想を策定し、市町村の認定を受けた「認定構想推進事業者」。

 

■タクティカル・アーバニズム(tactical urbanism)

 大規模開発(ニューアーバニズム)に対して、できることから市民の手で小さなアクションを起こし、長期的な変化やムーブメントにつなげようとするプロジェクトベースのまちづくりの考え方。道路空間の活用や木製ベンチの設置等、社会実験的な取組が輩出している。

 

■DMO(Destination Management Organization)

 「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた組織(観光地域づくり法人)のこと。

 

■地域再生計画

 地方公共団体が行う自主的かつ自立的な取組による地域経済の活性化や雇用機会の創出等地域の活力の再生を総合的に推進するため、地域再生法に基づき内閣総理大臣が認定する計画。本社機能の誘致に向けた地方活力向上地域等特定業務施設整備事業が位置付けられる。

 

■地域商社

 地域の関係者を巻き込み、農産物等の地域の資源をブランド化し、生産・加工から販売まで一貫してプロデュースし、地域内外に販売する組織。

 

■地域生活圏

 第三次国土形成計画で導入される新しい地域形成の基盤となる圏域の考え方。目安となる事項規模を10万人とし、人口減少が加速する地方において、人々が安心して暮らし続けていけるよう、地域の文化的・自然的一体性を踏まえつつ、生活・経済の実態に即し、市町村界に捉われず、官民のパートナーシップにより、デジタルを徹底活用しながら、暮らしに必要なサービスが持続的に提供されることをめざしている。

 

■中心業務地区(CBD:Central Business District)

 都市の主要なビジネス地区や商業地区のこと。 まちや都市の中で、オフィスや店舗等が特に集積している(集中している)地区のこと。

 

■中心市街地活性化法・中心市街地

 中心市街地(まちの中心)における都市機能の増進及び経済活力の向上を総合的かつ一体的に推進するため、その基本理念、市町村による基本計画の策定、内閣総理大臣による認定等を定める法律。この法律による措置は、都市の中心の市街地であって、次に掲げる要件に該当するものについて講じられる。

  1. 当該市街地に、相当数の小売商業者が集積し、及び都市機能が相当程度集積しており、その存在している市町村の中心としての役割を果たしている市街地であること。
  2. 当該市街地の土地利用及び商業活動の状況等からみて、機能的な都市活動の確保又は経済活力の維持に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められる市街地であること。
  3. 当該市街地における都市機能の増進及び経済活力の向上を総合的かつ一体的に推進することが、当該市街地の存在する市町村及びその周辺の地域の発展にとって有効かつ適切であると認められること。

 

■特定地区の管理運営団体

 特定地区のまちづくりや管理運営を担う、TMO、まちづくり会社や、エリアマネジメント団体のこと。中心市街地活性化は公社組織によって推進される場合もあることから、本稿ではこの表記を用いた。

 

■二地域居住

 主な生活拠点とは別の特定の地域に生活拠点(ホテル等も含む)を設ける暮らし方のこと。都市住民が多様なライフスタイル等を実現するための重要な手段と考えられている。

 

■集積の経済

 集積の経済は、企業活動が特定地域に集中して立地することで得られる便益。生産規模の拡大を通じて生産コストを下げることが可能となること、取引関係にある異業種の企業が同一の地域(都市)に立地することで、取引に伴う交通やコミュニケーションにかかる費用を大きく節約できること、異業種の技術者が集うことで、新たな創造の発想によって、新しいアイデアなどが生まれ、企業の生産性を向上させることなどによってもたらされる。

 

■まちづくり会社

 広義には、特定エリアの活性化や課題解決等、まちの活性化に取り組む第3セクター等の法人一般。狭義には、2006年の改正中心市街地活性化法に基づき中心市街地活性化協議会の構成員として、良好な市街地を形成するためのまちづくりの推進を図る事業活動を行うことを目的として設立された会社等。

 

■MAP‘S+O

 経済産業省が設置した「地域の持続可能な発展に向けた政策の在り方研究会」報告書(令和2年9月30日)で提案されている、多岐にわたる地域課題に取り組むための地域で中心的な役割を担う事業者を核とした地域内外の連携体制のこと。下記の構成機関の頭文字をつなげた造語。

  1. マネージャー(Manager):地域の持続的発展に取り組む中核的な人材(地域内人材と地域外人材が連携する場合を含む)
  2. アグリゲーター(Aggregator):広域で複数の地域に、地域の持続的発展に資する製品又はサービスを供給する地域外法人
  3. プレイヤー(Player):マネージャー及びオーガナイザーに対し、協力・連携する地域内外の法人(又は人材)
  4. サポーター(Supporter):地域の持続的発展に取り組む人材・組織への支援を行う地方公共団体又は国
  5. オーガナイザー(Organizer):マネージャーが所属する組織であり、アグリゲーター及びプレイヤーと連携する主体であり、サポーターの支援先である取組の中心的な役割を担う地域内法人

 

■立地適正化計画

 都市再生特別措置法に基づき、市町村が都市全体の観点から作成する、居住機能や福祉・医療・商業等の都市機能の立地、公共交通の充実等に関する包括的なマスタープラン(都市計画法による市町村マスタープランの一部とみなされる)。誘導施設の立地を進める居住誘導区域と都市機能誘導区域を定める。

 同計画に基づき、都市機能立地支援事業を活用する場合は、「中心拠点区域」(必要な都市機能を誘導し、まちの活力の維持・増進や、持続可能な都市構造の再構築を積極的に図る拠点区域)及び必要があれば「生活拠点区域」(中心拠点区域の都市機能を公共交通により活用可能な区域で、公共交通の利用促進にもつながる拠点区域)を設定する。

 

■Society5.0

 サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱された。

 

■ワーケーション

 「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、普段の職場と異なるリゾート地や観光地で働きながら休暇を取ること。